ゆかいな仲間たち
ここまで、パンチ君と東大君のことはかいつまんでお話しました。
ほかにも、我が「世捨て人仲間」には、個性的な人間が勢ぞろいです。
たとえば、当時の私よりちょうど10歳年上のJ君は、もとディスコ(今なら倶楽部、いやクラブですか?)
の店長で、渋谷の近くにマンションを持ち、BMWを乗り回し、
有価証券投資でウン千万円を稼いだらしい(これは噂ですが…)のです。
事実、ある休日に、私とパンチ君とJ君の3人が、渋谷の駅前を歩いていると、
道端でチラシだかチケットだかを女性に配りまくっていたカッコいい兄さん方が、
J君を見るなり直立不動となって、
「こんちはっす!Jさん、ごぶさたしてます!」
と、本当に体育会系よろしく気合のこもったあいさつをしてくるではありませんか。
その時、彼らに威風堂々と受け答えしているJ君は、さすがに貫禄がありました。
しかし、その一方で、「それだけの地位にいるのなら、何もリスクを背負って公認会計士を受けなくてもいいのでは?」
とちょっとだけ、考えてしまったりします。
しかし、彼にもカラオケボックスに連れて行ってもらったり、ずいぶんお世話になりました。
そういえば、こんなこともありました。
J君と私は、財務諸表論(つまり会計学)の学習内容について、
連日あれやこれやと議論を戦わせていた頃です。
財務諸表論の議論の中に、「減価償却」というのがあります。簡単にいえば、建物や設備を買ったら、
毎年、使うことによって少しずつ価値が減るので、その金額を見積もって、
今年分の価値減少額を計算・記録する、という手続です。
もちろんこの減価償却という言葉は、一般には全然なじみがありません。
彼も、連日の猛勉強で、すっかり頭の中は会計理論に支配されていたのでしょう。
ある時、真夜中に、彼のもとへ旧友からの電話があったそうです。
「もしもし、Jだけど…」
「ああ、J?俺だよ、わかる?」
「もちろんさ!」
こうして、二人は久方ぶりのコミュニケーションをとったのでした。
ところが、です。
J君は、つい今しがたまで深い眠りについていたため、あたまがノンレム睡眠状態からいまだ開放されていませんでした。つまり寝ぼけていたのです。そこで出た一言。
「ああ、そういえばさあ。お前の家、ちゃんと減価償却してる?」
「はあ?」
この話を聞いたとき、教室は爆笑の渦でしたが、ひとしきり笑い声が絶えた後、
数秒の沈黙がありました。
「明日はわが身…」
きっと、みんながそう思ったことでしょう。
他にもいろいろな人がいました。自分を振った彼女を見返してやろうと受験勉強を始めた人、
とてものんびりした性格が災いして、うっかり受験の申し込みを忘れてしまい、
「また来年!」となってしまった人、ちょっとわかるとすぐ「見切った!」と叫び、
実際は全くテストの点が上がらない人、などなど…
あの頃の仲間たちは、今、どうしていることでしょう。
みんな、合格しているといいな、と考えてみたりします。
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