念願の独立開業とお客様第1号
その個人会計事務所に在籍していたのは1年足らずという短い期間でしたが、
その間にこなした様々な分野の仕事は、監査法人時代に得たものとはまた違った意味で、
とても大きな財産となりました。
なにより、「財務書類を見る立場」だけでなく、「財務書類を作る立場」を経験した、
ということが非常に有意義だったと思います。
そんなこんなで、翌年の春、「もう少しいればいいのに!」という、ありがたい引き止めのお言葉を
いただきながらも、「自分の名前で会計事務所を出す」という1つの目標に向けて、
退職することとあいなったのです。
そして、4月に辞めてから、5月と6月は、本当にあっという間に時が過ぎていきました。
その間、事務所の看板をつけたり、名刺を発注したり、地元の電話帳に広告案内を出したりと、
いろいろ準備をしたのですが、気が張っていたせいか、それほど忙しい、という感じはなかったですね。
準備作業にもある程度めどが立ったので、広告案内が町内に出回る7月1日を「独立開業の日」に決め、
「柴山公認会計士事務所」が、晴れてスタートしました。
まあ、はじめの2~3年は、税務のお客さんもほとんどないだろうな、
という前提で考えていましたので、開業当初はかなりお気楽な雰囲気の毎日でした。
そして、開業から半月ほど経ったある土曜日の朝、一本の電話がなったのです。
「はい、柴山会計事務所です」
「あのう、税金の相談に乗っていただきたいんですが…土曜日でも大丈夫でしょうか?」
きた、と思いました。
「ええ、もちろんです。それで、どんなご用件ですか」
「私は、1年前から美容室を経営している者です。先日、区役所から、
『住民税の申告』をして欲しいので、都合の良い日時を決めて来てくれな
いか、といわれまして…」
「なるほど、税務申告のご相談ですね。それでは一度、お宅のお店に伺
って、具体的にお話を伺いましょう!」
これが、第1号のお客様との出会いでした。
「なかなか、さいさきのいいスタートだぞ」
私が抱いた、当時の心境です。
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