資本金が5億円以上の大会社や、株式を公開している企業などは財務諸表を公表するに当たり、
商法・証券取引法といった法律によって、公認会計士の監査証明を受けなければなりません。
これは、大企業のように影響力の大きい存在が発信する重要な公の情報、
すなわち財務諸表が真実を表していないとすれば、それは多大な社会的損失になるので、
大企業に限ってはその財務諸表に信頼性を持たせるため、
専門知識を有する第三者のチェックを必要とするからです。
話は変わりますが、私たち監査人は、監査契約を結んだ企業のことを「クライアント」と呼びます。
つまり、「顧客」という意識が心のどこかにあるんですね。
具体的にいうと、3月決算の大企業ならば、6月に株主総会という事業年度の最終報告会議を行い、
株主総会が無事終了すれば監査業務も一段落します。
したがって、7月が新事業年度の監査契約のスタートとなります。
監査人は、監査契約に基づき、向こう一年間の監査計画を立て、監査を実施します。
そして、公認会計士の行う監査業務に対し、クライアントが監査報酬を支払うのです。
クライアント 監 査 人
報 酬
<監査契約>
監査業務
(公認会計士)
ここで、報酬をもらっている立場にあると、クライアントに対して厳しい態度で監査を実施することが
難しくなるのではないか、という疑問がわいてきます。
いわゆる「癒着(ゆちゃく)の関係」になりはしないか、という問題です。
この点、ある会社を担当する監査人が、第三者の公認会計士などから監査業務について
審査を受ける制度がありますし、万が一会社の不正を意図的に見逃したりした場合には、
「規律規定」に照らして公認会計士協会などから罰則を課されることになり、様々な角度から、
「馴れ合いの監査」にならないような仕組みが作られています。
また、最近は、社会の公認会計士に対する見方が厳しくなってきていることから、
ますます公認会計士業界全体に、自らを厳しく律するような意識が根付いてきています。
さらに、現場で監査業務を行っている立場からすると、クライアントは、
基本的に公認会計士の専門家としての指導をおおいに望んでおり、理不尽な要求をつきつける、
ということは現実問題、めったにあるものではないのです。
したがって、ニュースに取り上げられるような、何千分の一かの異例な事件はともかく、
たいていの場合は、世間で心配されるような癒着に陥らないよう、業界を挙げて厳しい態度で
監査業務に臨んでいます。
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